あこがれのヨーロッパを目指して

 結局、学生アルバイトの彼は夏休み前に会社を辞めてヨーロッパに旅立ちました。沢山の思い出の他に経験や体験、得るものは沢山ある事でしょう。チケットを予約する頃には不安もあってか一緒に行かないかとまで言い出して、入ってすぐの社員の私が会社を辞める訳にはいかないと、辞めた後の面倒を見てくれるのかと言って丁寧にお断りしたのです。

 それから1年、なれない経理の仕事も数字を合わせるという事の達成感が楽しくなり苦にならなくなって来ました。旅行がしたくて貯蓄しはじめた額もなんとか目標に達し、ついに海外の夢を果たせる日が来たと喜んでいました。どこに行こうか、いろいろなパッケージプランのパンフレットを沢山貰って来て費用やルートをみながらひとりで考えていたのですが、考えるとやはりひとりは不安でした。誰か一緒に行く人がいないものかと大学時代の友人に声を掛けてみましたが、休暇時期が合わずに結局は一人旅となったのです。

 ドイツ行きの格安ツアーを見つけました。往復航空券と初日宿泊のみが付いているのです。何とかなるかな、と思いながら予約をし、2日目以降の宿は行き当たりばったりとなったのです。

 自分でもかなりの思い切りでしたが、1年前のアルバイトの彼から考えるとひとつの国でしたし、無理して足を伸ばさなくても見所は沢山あるのです。万が一のときは同じ場所に宿をとって拠点として色々な場所を巡ってこようと思ったら、とても気が楽になり不安は吹き飛んでしまいました。そして出発が待ち遠しくなりました。

 どういう風に旅するかも少しは考えておかなくてはならないのでプランはたててみました。フランクフルト空港を入国としましたのでアチコチ移動しやすいのですが、ケルンまで列車であがりライン川で下ってくる、そしてハイデルベルグを廻りフランクフルトで出国という単純で簡単なコースです。単純ですが上手く行くかどうかは分かりません。日数の関係もありましたし、偉そうな事を言っていても海外旅行初心者なので十分すぎるくらいのチャレンジコースでした。